※注文住宅の依頼先って、ハウスメーカー、工務店、設計事務所+施工会社など、いろいろあって書き分けるのが大変ですよね。そのため、この記事ではこれら家づくりのパートナー全般を総称して「ビルダーさん」と表現しています。
1棟目とは違う、展示場に「行かない」ビルダー選び
初めての家づくりのときは、ご多分に漏れず「まずは近所の住宅展示場へ行ってみよう」というスタートでした。
当時でも性能が気になった一条工務店さんには、営業担当者との相性がいまいちで、展示場の場所を変えて3回も話を聞きに行きました。積水ハウスさんでは工場見学に参加してプランニングまで行い、トヨタホームさんでも同じく工場見学まで行ってプラン提出の手前まで進めました。他にも桧家住宅さん、富士住建さん、ヤマト住建さんなどの中堅どころのハウスメーカーや地元ビルダーさん等々数多く回ったものです。
しかし、最終的に私たちが選んだのは、当時としてはまだ珍しかったトリプルガラスを標準とし「高気密・高断熱」を強みとする地元のビルダーさんでした。
そして迎えた、2回目となる今回の家づくり。アプローチは1棟目のときとはまったく異なります。
まず、住宅展示場には一切足を運びませんでした。 展示場はあくまで、実際の家づくりのための「単なる打ち合わせ場所」に過ぎないと考えているからです。等身大の家が見たければ、完成住宅見学会などに行けばいいというのが私の持論です。
それに地元のビルダーさんとなると東京住まいからしたら遠いですから簡単にはいけません。
ちなみに問い合わせをした一条さんからは是非(今の在住の東京の)展示場に来てくださいと打診がありましたが、寒冷地での建築について東京の展示場で話がちゃんときけるのか?という思いもありメールで現地の担当者とやり取りをしただけに終わってます。
寒冷地かつ別荘地 ― 蓼科の特殊な環境を理解する
今回の建築予定地は長野県の「蓼科高原」。寒冷地であり、かつ管理別荘地でもあります。 茅野市に位置してはいますが、茅野市の市街地とは標高で300m位は違うので、市在住の人からみても市街とは違うよねっていう気候も環境もまったく異なる特殊な場所です。
そのため、まずはWebを活用して、茅野市を施工エリアとする高気密・高断熱を得意とするビルダーさんをリストアップすることから始めました。
今やほとんどのビルダーさんが「高気密・高断熱」をアピールしていますが、よく見ると「具体的なUA値やC値の数値を明確に示しているところ」は意外なほど少数派です。そこで、まずは「性能数値を実績としてしっかり開示していること」を第1の判断基準にして絞り込みました。
次に重視したのは「実績」です。 別荘地での建築には特有のルールがあり、寒冷地ならではの施工ノウハウも不可欠。そのため、その地域での別荘建築や寒冷地仕様の確かな実績を持つビルダーさんに絞り込んでいきました。
また、土地探しの最中には、現地で気になる工事現場を見かけるたびに看板の施工会社をチェックし、候補リストに加えていきました。別荘地内では大手ハウスメーカーの施工はあまり見かけませんが、一条工務店さんと三井ホームさんは管理別荘地でも見かけたため、この2社も候補に入れてます。
「13の要求仕様」で打診する
そうして作成した候補リストのビルダーさんにコンタクトをしていきました。
(実はそれ以前に、同じ別荘地に住む移住の先輩が建ててもらった「耐久性重視の高品質な家」をつくる設計事務所や、「床下エアコンといえばこの人」と言われる高名な松尾設計室さんにもコンタクトをしていました。しかし、前者は予算面で折り合いがつかず、後者はキャパシティの問題で着手まで早くても半年以上待つとのことで、断念せざるを得ませんでした。)
そこで、絞り込んだ候補リストのビルダーさんに対し、こちらの明確な希望を「要求仕様」として打診しました。提示した主な内容は以下の通りです。
- 水抜き不要な高気密高断熱住宅
- UA値0.26程度(断熱等級6)の断熱性能
- C値0.2程度の気密性能
- 許容応力度計算による耐震等級3
- 25坪程度の平屋、もしくは1LDK+ロフト・多目的スペース程度の規模
- 床下エアコン採用の為、基礎断熱の採用
- 床下エアコン1台で完結する暖房システム
- ロフト等に2台目のエアコンを設置した全館冷房
- 凍結深度に対応し、かつメンテナンスが容易な床下空間の確保
- 冬の日射取得と夏の日射遮蔽を考慮したパッシブデザイン
- トリプルサッシの大型窓からつながるウッドデッキとドッグラン
- ホウ酸を使用したシロアリ対策
- 薪ストーブ(ペレットストーブ)の導入(※ただし、暖房はエアコンを主軸とし、ストーブは雰囲気を楽しむためのサブ扱い)
その他、細かい要望を添えて「まずはこの仕様が対応可能か、もし難しい場合の代替案は何か」という明確な回答を求めました。
もちろん、このリストが100%必須というわけではありません。これらをぶつけたときに、ビルダーさんがどう工夫し、どんな代替案を提案してくれるかという「対応力」を見たかったのです。
ビルダーたちの回答と「3つの壁」
各社から返ってきた回答を見ていくと、特に以下の3点が大きなハードルになっていることが分かりました。
- C値0.2(の保証)
- ホウ酸によるシロアリ対策
- 床下エアコンの採用
気密性能を示すC値について、私は「0.2はあくまで目標で、実測で0.5程度が確保できれば十分」かなと考えていました。ちなみに現在住んでいる家が竣工時のの実測で0.5でしたので、さすがに寒冷地でこれを下回りたくないという思いからきています。
しかし、0.2や0.5はできる。実績もある。でも保証はしないというビルダーさんもありました。 「保証しない」ということは、引き渡し時の測定結果が悪くても手直し(是正工事)をしないということです。C値は職人さんの丁寧さや施工クオリティの証明でもあると考えていたため、これを約束できないビルダーさんは候補から外しました。
さらに、床下エアコンや基礎断熱そのものを否定するビルダーさんもありました。 自社が特許を持つ工法を強く押し付けてきたり、「エアコンではなくパネルヒーターにしなさい」と主張してきたり。その否定の理由を聞いてみても、こちらの疑問をスッキリと解消してくれるロジカルな説明は得られませんでした。 中には、「技術的な回答は連休明けに連絡します」と言い残したまま、そのまま連絡が来なくなったビルダーさんもいました。こうしたフェードアウトをする会社は、いざ着工してから必ず何かしらのトラブルを起こすのが目に見えています。
そして「ホウ酸によるシロアリ対策」です。 ペットもいるし、半永久的となるとどう考えてもホウ酸が最適解だと思っているのですが、何かしら理由をつけて「定期的な薬剤施工」を譲らないビルダーさんもありました。 最も残念だったのは、「ホウ酸対応可能です」と答えておきながら、いざコンペの図面や見積もりを出してきたら、自社オリジナルの薬剤型の施工プランをしれっと盛り込んできたビルダーさんがいたことです。
3社での最終プレゼンコンペ、そして決断
こうしてふるいにかけ、最終的に中規模の地元工務店、小規模の地元工務店、そして少し離れたエリアの中規模工務店の3社に絞り込みました。
ちなみに3社ともモデルハウスや展示場をもっている会社ではありません。完成住宅見学会についてはいずれもタイミングがあえば可能との回答でした。
で、それぞれの会社に対して、なぜ私たちがその仕様にこだわりたいのかという背景や理由を改めてプレゼンさせていただき、同じ条件で見積もりとプランを競うコンペを実施しました。
3社とも小中規模なので、すべてに設計士さんが同席するというか、設計さんが中心で営業はいたとしてもサポートという対応だったのは良かった点かと思います。

2〜4週間後に出揃ったプランを比較したところ、費用には最大で約2割の開きがありました。 しかし中身を精査してみると、価格の差は主に「システムキッチンやバスなど住宅設備のグレード」や「内装材」の違いによるものでした。結果として、同じ仕様(高断熱高気密・構造体)で作れば、工務店クラスであれば価格はどこもほぼ同じ水準になるという、きわめて当たり前で納得のいく結論に至りました。
(住宅設備費を200万円と試算している会社もあれば、400万円で組んでいる会社もありましたが、実用的にキッチン、お風呂、洗面、トイレをすべて賄うなら、200万円の予算枠はさすがに厳しいだろう、といった判断が自分でできるようになります。)
なので価格では選んでいません。
最終選定の段階で、3社のうち1社は先述の「シロアリ対策」を勝手に変更してきたため論外として除外。 残る2社のうち、最初は「地元で圧倒的な実績を持つ工務店さんの方が安心かもしれない」という心のバイアス(偏り)が正直ありました。 しかし、いざ提示されたプランの説明を受けてみると、私たちが伝えていたはずの希望がかなり抜け落ちていたり、変わってしまったりしている点が非常に気になりました。それを指摘すると「直します」と言ってくれるのですが、初回の図面への落とし込みを見る限り、私たちの想いを真剣に考え抜いてくれた形跡が薄いように感じられたのです。設計担当でもある社長さんが直々に説明してくれたのですが、やはり会社を代表する立場でお忙しかったのかもしれません。
対して、最後の一社は、主に寒冷地や別荘地での建築を得意とする設計士、監理、現場監督をほぼ家族のような少人数で営んでいる、非常に小さなビルダーさんでした。 彼らは大手のマニュアルに縛られることなく、私たちのマニアックな要望に対して最も親身に、そして柔軟に対応してくれそうでした。
結果として、この「一番希望を汲み取り、柔軟に並走してくれそうなビルダーさん」を相棒に選び、私たちの2回目の家づくりが本格的にスタートしたのです。
現在の進捗において、資材高騰の波や追加のこだわり仕様によって当初の見積もりからはかなり金額がアップしそうではありますが、ここまでの試行錯誤を振り返っても、「このビルダーさんを選んだ選択に間違いはなかった」と心から確信しています。

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